NPO法人 静岡山の文化交流センター

Shizuoka Mountain Cultural eXchange Center

井川の将来


2017年7月31日

1.南アルプス大井川東股林道安全対策(舗装化、拡幅、落石)

リニア新幹線トンネル工事を目前に控え、二軒小屋辺りまでの道路整備計画は既に出来上がっているものと予想される。
我々が知らないだけだと思われるが、将来の南アルプス登山者等による道路利用を考えると、いくつか確認したい事項がある。
林道を整備することにより、林道ではなくなり県道となり、その整備費は静岡市が負担するのか、それとも受益者負担という観点からはJR東海や中部電力なども負担するのか。
道路の占有権は地主の特種東海製から静岡市が買い取ることになるのか否か。
その道を井川から椹島を経て二軒小屋までバスが走る、という認識でいいのか。
バス運賃は誰が徴収するのか等がある。


2.国立公園の拡大
大井川源流部は古くから東海パルプの社友林(現特種東海製紙)だったことから、南アルプス国立公園指定時の範囲が極端に狭く、国立公園を適正に維持管理できない事情があった。
時代が移り、今や高地森林は環境保全になくてはならない役割が評価される時代となり、製紙事業も原木パルプを多用する時代から、輸入や再生紙リサイクルの時代を迎えている。このような時代背景に鑑み、標高2400m以上の高地を南アルプス国立公園に編入することは時代の要請であると考える。既に林業を中止した特種東海製紙の特段の配慮をお願いする次第である。

3.見返り施設建設など
南アルウス国立公園の拡大という課題が達成されれば、その見返りとして国(環境省)は、各種の必要な施設を置くことになるだろう。
維持管理費も国が負担することとなろう。
民間企業が営利を目的に管理していた時期とは格段に違い、多くの観光客が当地を訪れることなる。これは一種の国土再利用であり、地域創生になる。井川は、名実ともに南アルプスの玄関集落になる。

4.交通インフラ整備状況
リニアトンネル工事を支える下流域の交通インフラ整備に関しては、二つのルートがある。一つは閑蔵線、もう一つは井川トンネル開設である。いずれも一長一短がある。
しかし、直接建設費の比較では閑蔵線トンネルの方が安上がりなのは衆目の一致するところであろう。
川根本町経由井川行きルートである。
同じ静岡市内にありながら、井川と静岡市街地は近くならない。
リニアトンネル工事に関する物資調達が、川根本町経由でいいのか。
何か釈然としないものがある。
果たして、これで井川への交通インフラが改善されたと言えるのだろうか。井川の縁故者の大半は静岡に住んでおり、大井川筋ではない。したがって、冬季のみの交通インフラに安全改善が見られる程度ではあるが、時間が短縮される訳ではない。むしろ所要時間は長くなる。
静岡市街からの時間短縮には井川トンネルを抜く以外に手はない。
資金をギリギリに絞っても50億円程度はかかるだろうが、今回のリニアトンネル工事に合わせて、将来の南アルプスの観光開発と井川の持続可能な機能保持のために、井川トンネルの建設を何としても、進めねばならない。
最早、この機会を逃すと井川トンネルは永遠に陽の目を見ない幻の計画に終わる可能性を強く感じる。

5.井川の将来
井川の将来の姿を形作るのは、井川の持つ地理的な構造条件を変える(井川トンネルの開設、二軒小屋までの舗装道路整備)以外に手はないと認識すべきだと思われる。
この構造変革なしに、井川の将来を論じることは意味がない。
井川の奥の先端が二軒小屋まで広がり、静岡市街との交通インフラが45分に短縮されれば、井川は静岡への通勤圏となり、静岡へ出ていた人々も井川に戻り、また避暑地としてログハウスを建てる人も出て、往来関係人口は飛躍的に増え、常在人口1000人維持も夢ではなくなる。
洒落たレストランや喫茶店もできて、スーパーやコンビニも姿を見せるだろう。小学校も復活する。
井川の有する最大の資源である森林の木材を石油(灯油、軽油)に変わる生活・産業エネルギーとして活用する事業化が次の課題になる。
バイオマス発電、薪ストーブの普及、ペレットストーブの普及など。
あるいは、再生可能エネルギー利用面で小水力発電、太陽光発電なども検討されるべきである。
更に、井川を幾多のスポーツ、生活文化、芸術イベント等を企画開催する常在地として位置付けるなど、やるべきことは無限にある。
大井川源流域の国立公園拡大により、多くの観光客や登山者が訪れることになるだろう。
そして、井川が南アルプスの上高地的存在として認知されることが確実視される。あとは地元の自助努力次第である。